インクシールを失敗せずにきれいに貼って、長持ちするテクニックを集めました

インクシールの転写は非常に強固で、繊細なデザインも可能ですが、準備や貼り方を間違えると本来の性能を生かしきれません。ぜひこのテクニック集を参考にしていただけますと幸いです。

準備編

きれいに転写できるかどうかは、この下準備にかかっているといっても過言ではありません。この工程をしっかりすることで、転写時の失敗を減らし品質を安定させることが可能です。

汚れ・油・シリコン除去

下地をきれいにすることで、インクシールをしっかりと定着させることができます。特に油やシリコンは大敵。きれいに転写されないので、必ず除去しましょう。

普通の汚れ・油汚れ

消毒用のアルコールをティッシュに含ませてきれいにします。

アルコールで脱脂する場合は、薬局で売られてる消毒用のアルコールなど、界面活性剤などが使われえていないものをご使用ください。

消毒用アルコールは数百円で購入可能です。

ウェットティッシュは使用しないでください。写真のようなアルコール配合のウエットティッシュでも、その他の成分が含まれており転写の強度を下げる恐れがあります。

中性洗剤で洗い水で綺麗に洗い流しても良いかと思います。中性洗剤には界面活性剤が含まれるものが多いので、使用する場合は水で綺麗に洗い流してください。

保護つや出し材の除去

インクシールは、シリコン素材に対しては転写できません。

保護つや出し材にはシリコン成分が含まれていることが多く、これが塗布されている状態ではうまく転写できません。

また、このシリコン成分はアルコールだけでは除去が難しいので、別の方法が必要です。

写真左は、よくある「保護つや出し材」です。
成分の中には「シリコンオイル」が含まれていますので、インクシールは転写できません。

そこで、写真右の「シリコンオフスプレー」を使います。
これを転写部分にスプレーし、完全にシリコンを拭き取ります。この処理をすることで、インクシールが転写可能になります。

シリコンオフスプレーはネットで、千円以下で購入できます。

シリコンそのものや、シリコンコーティングされているものには、シリコンオフスプレーを使用しても転写はできません。ご注意ください。

※シリコンオフスプレーを使用する際は素材を痛める可能性もありますので、目立たないところでテストするなどしてください。使用する場合は自己責任でお願いします。

 

転写編

転写工程ですが、失敗しないためのアイデアをいくつかご紹介します。紹介する方法が絶対ではございませんが、参考にしていただければ幸いです。

位置決め

位置決めに便利な「トンボ」をデザイン時に作成

デザイン時に事前にトンボを作成しておけば、より正確に転写が可能です。

さらにこのトンボは、転写されずに後ではがず必要もありません

トンボを印刷

マスキングテープで固定

より簡単な方法として、貼る位置が決まれば、シートの片側をマスキングテープなどで固定してしまう方法も有効です。

これなら何度でも場所の修正が可能で、台紙をはがす時にずれることはありません。

マスキングテープで固定

転写

使用期間

保管状況にもよりますが、長期間保存するとフィルムが伸縮しますので、2週間程度で、転写してください。

台紙をはがす

台紙をはがす時はインクが載ったフィルム(透明フィルム)を曲げると、転写後にひび割れが発生する場合があります。ですから、透明フィルムを下にして台紙を剥がしましょう。

また、透明フィルムを無理に引っ張るとこちらもインクの割れにつながりますので、気を付けましょう。

台紙からフィルムをはがす時は、インクシールの角の部分を、指の腹でフィルム側へこするようにするとはがれやすいです。

転写

転写時は、空気が入らないよう片方の端から転写物に乗せていくようにしましょう。

その後、空気を抜くように中心から外に向かってしっかりと押さえつけます。

特に細かな部分や、図柄の隅の方を重点的にこすってしっかりと転写します。

写真のように「スキージー」を使うとより簡単に転写できます。
スキージーはネットで600円前後で購入できます。

スキージー

フィルムをはがす

フィルムをはがす時は、上に引っ張らずに、写真のように品物と並行に舐めようにゆっくりと剥がしていきます。

また、フィルムをはがしていく場合に図柄に対して直角ではなく、斜めになるようにフィルムをはがします。

フィルムにインクが残っていた場合は焦らず再度フィルムごと貼り付け、その部分を良くこすってもう一度試すか、別の部分からはがしていきます。

図柄が大きく一度ではがしにくい場合は、途中でフィルムにカッターなどで切り目を入れ、部分的に剥がしていくと良いかと思います。

メンテナンス編

美しい状態を長く保つためのちょっとしたご提案です。違いを検証したわけではありませんので参考程度にご覧ください。

保護・傷防止

保護つや出し材の塗布

保護つや出し材は、樹脂素材に保護膜を形成し、キズや汚れがつきにくくなります。転写後はシリコン系の保護つや出し材を使用しても問題ありません。

※保護つや出し材は、滑りやすくなりますので、使用箇所にはご注意ください。

※保護つや出し材の注意事項・使用方法をよく読みご使用下さい。